まず最初にオフィスを移転する目的・動機を明確にしましょう。
例えば、「交通の便が良い場所に移りたい」「人数が増えたのでオフィスを広くしたい」「賃料の負担を減らしたい」、などの目的が挙げられます。
満足するオフィス移転を行うために、新しいオフィスに何を望むのかを明確にしておくことが重要です。
必要となる移転先オフィスの条件を設定しましょう。オフィスを選定する際に、基礎となる三大条件は「立地」「広さ」「賃料」です。それぞれの条件に関し、以下のような例が挙げられます。
・「立地」に関し、「取引先へのアクセス」「現在の電話番号が使える所」等。
・「広さ」に関し、「従業員数から算出」「現在のオフィスとの比較」等。
・「賃料」に関し、「現在のオフィスとの比較」「月々かけられる予算」等。
また三大条件以外にも、「OAフロアの設置」「設備容量」「個別空調」「24時間使用可能」等の外せない条件もあります。移転する目的と照らし合わせ、新しいオフィスに必要な条件を整理し、物件選定をスムーズに進めましょう。
オフィスの移転を効率良く行う為に、必要な作業項目の整理やスケジュールの作成を行い、オフィス移転にかかる計画を立てましょう。スケジュールを作成する際に、現在入居しているオフィスの賃貸借契約書に記載されている「解約予告期間」について確認します。解約予告期間から逆算して、移転時期を決定し、現オフィスと新オフィス両方への賃料の二重払いを極力少なくします。
また、「保証金(敷金)の返還時期」「原状回復の範囲」などを確認しておくことも重要です。
物件、移転先のオフィスに求める条件の優先順位を考慮して検討する必要があります。希望条件の全てを満たす物件が見つからない場合もあります。その場合、譲ることができない絶対条件を明確にしておかなければ、移転する目的を達成できないことにもなりかねません。物件をある程度絞り込んだら、実際に現地に行き周辺環境等を確かめたり、オフィスを内覧します。
書類では得られない重要な情報を、数多く得ることができます。物件を検討する際、注意すべきチェック項目を列挙しました。
立地 | 最寄駅からの距離 取引先へのアクセス 周辺の利便施設(金融機関・飲食店等) |
設備 | OAフロアの有無 光ファイバーの有無 空調機の形式や吹き出し口の位置 温水洗浄便座の有無 |
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広さ | 貸室の形状 栓や梁の有無や位置 貸室面積に共用部や水周りを含んでいるか否かの確認 |
安全性 | 耐震性能 セキュリティの有無や仕様 |
空間 | 天井の高さ 窓の位置や大きさ |
その他 | 耐震性能 ビルの築年数 ビルの外観やエントランスのイメージ 他のテナントの属性 ビルの使用可能時間や休館日の有無 |
オフィスの移転には、賃料以外に様々なコストがかかります。物件を選定する際は、かかるコストを比較検討することも重要です。一般的なチェック項目を列挙しました。
イニシャルコスト | 保証金(敷金)・解約引の確認 礼金の確認 更新料の有無 |
ランニングコスト | 賃料や共益費の確認 清掃費用の有無 時間外空調費用の有無 水道光熱費の計算方法 看板使用料の確認 |
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申込に際しては、具体的な契約条件を決め、必要事項を記載した入居申込書を貸主または管理会社に提出します。審査に際しては、会社案内、登記簿謄本や決算書等の添付を依頼されるケースがあります。
貸主または管理会社による書類審査に問題が無く、貸主および借主双方が諸条件に合意したら、賃貸借契約締結の手続きに進みます。
不動産の賃貸借契約書は、専門用語も多く、一般の方が内容を理解することは容易ではありません。後のトラブルを未然に防ぐ為にも、契約内容をきちんと理解することが大切です。原状回復等の将来起きるであろう事象についても確認しておかねばなりません。
契約関連書類の確認が完了したら、契約締結日を決定し、必要書類や決済金の準備をして契約に臨みます。
必要書類
【 法人契約 】 会社登記簿謄本・印鑑証明 , 連帯保証人の住民票・印鑑証明
【 個人契約 】 本人・連帯保証人ともに住民票・印鑑証明
※物件により必要書類が異なる場合があります。
まず、スペーススタンダード(オフィスに必要な機能空間の最小単位を、機器・装備を含めて標準化したもの)を決定し、執務スペースの基本プランを作成します。その際、将来的な従業員数の変化や組織変更を考慮することが重要です。基本プランが決まったら、応接室・ミーティングルーム等必要となる共用スペースを配置し、その後に共用キャビネットなどの位置を決めます。
新しいオフィスの電話回線やPCのサーバーなど、インフラの対応について整理することが必要です。
サービス事業社と回線数や設置場所等について協議し、サービス事業者との契約の確認を行います。
上記基本レイアウトを基に、貸主との協議・承諾を経て、オフィスレイアウトを決定します。照明・空調等の設備の配置、消防法や館内規則等による制限に注意をする必要があります。
新しいオフィスのレイアウトが決定したら、工事業者に工事を発注します。発注する際は、数社から見積もりを取り、費用・工期・サービス内容等を確認し、総合的な判断により業者を選定することが大切です。
また、消防設備や機械警備設備等に関する工事は、貸主が指定する工事業者に依頼しなければならないことが多いため、貸主に確認することが必要です。
オフィスの移転に際し、各種官公庁や金融機関・サービス事業者等への届出や手続きが発生します。リストアップし、漏れが無いようにしましょう。また、官公庁への届出に関し、届出のタイミングや提出書類等について事前に確認することが大切です。
新しいオフィスでは、オフィスの使用に関しルール・マニュアルを設けて、安全に快適に効率良く業務を執り行っていきましょう。